日本の最高学府「東大」で蔓延る女性差別。日本の中枢にセクシストはいらない

この記事のポイント

  • 東大は日本の中枢に人材を輩出している最高学府としての社会的責任がある。その影響力の強さから、日本の常識を作る組織の一つであると言っても過言ではない
  • 人間を属性で判断し十把一絡げで排除するという点では「中国人は採用しません」も「東大女子はお断り」も同じ差別問題なのに、東大の対応に差がある
  • 東大女子お断りサークルを容認する学内の空気が東大生による強制わいせつ事件や痴漢事件の容疑者の認知の歪みを強化したという仮説がある

2020年1月30日に放送された「スッキリ」というテレビ番組で、東大に在学する女子の参加を断るサークルが東大に複数存在すると放送され、その放送を紹介したツイートが拡散しました。

このツイートで注目すべきことは以下2点です。

  • 東大に在学する女子のみ参加お断りで、他大学の女子の参加は許可している。
  • 複数のサークルで東大女子をお断りしているのは「伝統」で半世紀前から存在し、現在も続いている。

東大については、ここ数年だけでも痴漢や強制わいせつ事件と、性犯罪を犯す東大生について度々報道されています。

そこで今回は、東大女子お断りサークルを容認する学内の空気が、東大生による強制わいせつ事件や痴漢事件の容疑者の認知の歪みを強化したという、筆者の仮説について解説したいと思います。

なお、2020年1月26日に「2020年度東京大学教養学部オリエンテーション委員会」という学生自治団体が「東大女子お断り問題」に対し、差別行為を規制するための規則を追加したそうです。素晴らしい取り組みなので先にご紹介します。

昨年度以前のテント列やサークルオリエンテーションにおいて、毎年のように、本学の女子新入生が性別を理由に入会を断られるといった事例が報告されています。正当な基準なく特定の大学を対象に性別のみに基づいて入会を規制することは、純然たる差別行為であり、新入生に不快な思いを与えます。このような新入生の不利益になり得る行為は、新入生に対して選択肢が開かれた自由な団体選びを提供することを目指すオリエンテーション委員会として、看過できるものではありません。

よって、2020年度オリエンテーション諸活動において上記のような差別行為を認めないこととしました。この規則に同意した団体のみがオリエンテーション諸活動に参加できます。これは、2019年度までの新歓方法や団体の性質を問うものではなく、あくまで2020年度オリエンテーション諸活動における差別行為を規制するものです。

公式HPより引用

▼ 参考: 2020年度東京大学教養学部オリエンテーション委員会の規約に賛同するサークル「東京大学行政機構研究会」のツイート

東大が日本の「常識」を作っている

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まずはじめに、「なぜ東大に限定するのか」ということについてお伝えします。

日本はジェンダー・ギャップ指数121位と、女性差別にかけては世界でもトップクラスに分類される国です。

卑劣な性犯罪がそこかしこで行われており、残念なことに性犯罪や女性差別自体は珍しい話ではありません。そのため、「東大生が他と比較して女性差別主義者や性犯罪者が多い」ということを述べたいわけではありません。

東大内にも、東大で蔓延る女性差別的な価値観に疑問を持つ方が大勢いらっしゃいます。筆者としては、「最高学府の東大でこれだから、他はもっと酷いか良くても同程度だろう」という見方が正しそうだと考えています。

しかし東大には、未来の日本の中枢を担う者を輩出する最高学府として、女性差別が横行する日本の倫理観や人権意識を引き上げる価値観を示す、社会的責任があります。その影響力の強さから、日本の常識を作る組織の一つであると言っても過言ではないからです。

そのため、東大おける女性差別にフォーカスをあてたいと思います。

東大教授は「東大女子お断りサークル」の不健全さを自覚しつつも、女性差別を透明化

東京大学、社会学・ジェンダー論が専門の瀬地山角教授(総合文化研究科)のインタビューが東大新聞オンラインに掲載されていました。

このインタビューで瀬地山角教授は、「東大女子など一部の学生が合理的な理由なく加入できないサークルが存在すること自体、不健全である」とコメントしています。「東大女子お断りサークル」の存在が問題だということは認識しているようです。

そもそも東大女子など一部の学生が合理的な理由なく加入できないサークルが存在すること自体、不健全であることを東大生は自覚してほしいです。以前、留学生に対する講義でこのインカレサークルの話をしたら「It’s so stupid!」とすぐに女子学生から声が上がりました。「お見合いサークル」は国際的にはそのように見られる存在です。 東大新聞オンラインより引用

しかしインタビューを読み進めると、「東大女子お断りサークル」が問題だと認識しつつも東大男子を擁護するコメントが出てきます。

瀬地山角教授は東大女子お断りサークルが存在する理由として、「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けようとする他大女子と、そんなつもりはないという東大女子の間に亀裂が生まれるから、と考察していて、「女子率が2割に満たない東大で他大に異性との出会いを求める東大男子の気持ちは理解できる」としています。

東大男子だけを責めるのはちょっと彼らがかわいそうかなと思います。女子率が2割に満たない東大で、他大に異性との出会いを求める東大男子の気持ちは理解できますから。 東大新聞オンラインより引用

これらのインカレサークルにおける東大女子を加入させない運営体制は複数の過程で出来上がったものだと想像できます。例えばサークル内で「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けようとする他大女子と、そんなつもりはないという東大女子の間に亀裂が生まれる。それは面倒くさいからというサークル構成員の理由もあるでしょう。また「お見合いサークル」としての機能を考えれば他大学にも門戸を開いた方が外見を意識した女子が集まります。「自分たちよりも学歴が低い女子を選ぼう」という東大男子の意識も働いているのかもしれません。 東大新聞オンラインより引用

東大女子が排除される理由について、あたかも「女子同士の問題」かのような考察を述べています。

これは、東大女子お断りサークルに所属する「東大男子の認識」の考察であり、瀬地山角教授自身の認識とは異なるとも読めますが、インタビュー内では明言されていません。

また、東大女子が排除される原因は「女子同士の問題」ではないことは明白ですが、このインタビューではその点についても明言されていないため、東大女子にも排除される理由があるという風にも読めてしまい、この問題の背景にある女性差別が透明化されています

東大女子と他大女子の亀裂は女子同士の問題ではない

東大女子と他大女子の間で発生してるとされている亀裂について、女子同士の問題ではない理由を解説します。

仮に、「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けようとする他大女子と、そんなつもりはないという東大女子が同じコミュニティに属していたとしても、別々の人間として個を尊重していれば亀裂は生じません。

「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けようとする他大女子と、そんなつもりはないという東大女子を別の人格を持つ人間として扱えず、そんなつもりはないという東大女子に「男子から可愛がられる」女子的役割をさせようとするから亀裂が生じるのです。

これは女子同士の問題ではなく、女子の個を認識できず画一的に「男子から可愛がられる」女子的役割を求める側の問題です。

また、「東大男子だけを責めるのはちょっと彼らがかわいそう。(省略)他大に異性との出会いを求める東大男子の気持ちは理解できる」という瀬地山角教授のコメントからは、「東大女子を排除しなければ他大の異性と出会う機会を作れないと考えている東大男子」に共感し容認する、というメッセージが読みとれます。

東大男子だけを責めるのはちょっと彼らがかわいそうかなと思います。女子率が2割に満たない東大で、他大に異性との出会いを求める東大男子の気持ちは理解できますから。 東大新聞オンラインより引用

そもそも、女子の個を尊重し、

  • 「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けたい女子もいればそんなつもりはない女子もいる。
  • 同じ女子でも、時と場合よってコミュニティで担いたい役割は変化する。

ということを理解してコミュニケーションすれば、東大女子を排除せずとも他大女子をサークルに呼び込むことができるのではないでしょうか。

瀬地山角教授の考察は女子を一人の人間として認識することができない側の問題を矮小化・透明化しています。また、東大男子に理解を示し共感することで、東大女子お断りサークルを容認する空気を作っています

※なお、実際には男子から可愛がられる役割を担いたい女子とそうでない女子、2パターンしか存在しないわけではありませんので、その点ご注意ください。

女性差別問題を学生の自主性に任せる東大。外国人差別の対応とは天地の差

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本部学生支援課が「東大女子を排除したサークルなどに対して改善を喚起した」とされる文書を読むと、東大では 「東大女子お断りサークル」への対処を東大生の自主性・自律性に任せているということがわかります。

「東京大学は、構成員の多様性が本質的に重要な意味をもつことを認識し、すべての構成員が国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻上の地位、家庭における地位、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障し、広く大学の活動に参画する機会をもつことができるように努める。」とし、「大学の構成員の責務」として、「東京大学を構成する教職員および学生は、その役割と活動領域に応じて、運営への参画の機会を有するとともに、それぞれの責任を自覚し、東京大学の目標の達成に努める。」ことが謳われています。 学生団体の活動に当たっては、このような理念等を踏まえ、その在り方を改めて確認し、4月以降の新入生への勧誘活動や自主的・自律的な活動に活かされていくことを望んでおります。

学生団体の活動に当たっては、このような理念等を踏まえ、その在り方を改めて確認し、4月以降の新入生への勧誘活動や自主的・自律的な活動に活かされていくことを望んでおります。 「学生団体の活動に当たって」より引用

実際、冒頭で紹介した東大女子お断りサークルに対し新年度の歓迎行事に参加させないとする新規則を発表した「2020年度東大教養学部オリエンテーション委員会」も、学生で構成された団体です。

一方、2019年11月に話題となった東京大学大学院情報学環・学際情報学府の大澤昇平特任准教授がTwitterでつぶやいた外国人に対する差別発言問題では、以下のような厳しい措置をとっています。

  • 早々に大学として「極めて遺憾」と公式見解を発表
  • 不適切発言に関する対応措置などを検討するための調査委員会を設置
  • 大澤昇平特任准教授を懲戒解雇

大澤昇平特任准教授の「弊社Daisyでは中国人は採用しません」という外国人差別と、「弊サークルでは東大女子はお断りです」という女性差別に、一体どの程度の差があるのでしょうか。

人間を属性で判断し十把一絡げで排除するという点では「中国人は採用しません」も「東大女子はお断り」も同じです。

東大の外国人差別問題と女性差別問題の対応を比較してみたり、東大女子お断りサークルの背景にある女性差別を矮小化・透明化する瀬地山角教授の考察を読むと、いかに女性差別問題が根深いかがわかります。

東大女子に解決策を提示する春菜氏の発言に補足します

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東大女子お断りサークルが東大に複数存在するということが放送された「スッキリ」で、春菜氏は「東大女子に言いたいのは、そんなクソサークル入らなくていい」、「自分が輝ける場所って絶対あるし、受け入れてくれる場所は絶対あるから。」と発言しました。

そのサークルがクソなのはそうだし他に居場所があるのもそうなのですが、そもそも女性差別を大っぴらにルールに組み込むことが「伝統」として許容される空間そのものが女子の心理的安全性を損なわさせます。

そんなサークルには入らなくていいのは当然として、そんなサークルが存在すること自体を否定し続けることも重要です。

また、「東大女子お断り」の価値観の根底には全女子に対する蔑視がありますので、このような価値観のサークルには東大女子に限らず全ての女子が関わらない方がよろしいかと思います。

ただ、東大女子に言いたいのは、そんなクソサークル入らなくていいし、(というのは)自分が絶対楽しめる場所があるから。 「なんだ東大の女子か〜時間の無駄だったわ」なんて言うやつと一緒にサークルは楽しめないこの先。

だったら、自分でサークルを作ってもいいと思う。東大に入った女子たちって、一生懸命勉強をして入るわけだから意志が強いし、気持ちがある人なら絶対に乗り越えられるから。これ(“東大女子お断りサークル”に入ろうとすること)を考えることが時間の無駄。

自分が輝ける場所って絶対あるし、受け入れてくれる場所は絶対あるから。 ハフポストより引用

痴漢で2回逮捕されても、女子を酔わせてトイレに連れ込んでも通える東京大学

2020年1月17日夕方、東京大学農学部4年の宮下岳容疑者が痴漢で3回目の逮捕となったと話題となりました。 宮下岳容疑者は、2018年と2019年にも痴漢で逮捕されています。

3回目の逮捕に対し大学側がどのような処分を下すか不明ですが、少なくとも2018年~2019年の間は性犯罪で逮捕されても大学に通学していて、3回目の逮捕前には大企業に内定もしています。

2018年~2019年の間、東大に通う女子はすぐ近くに女子をターゲットにした性犯罪者がいる空間で学問を学んでいたのです。

1月17日夕方に、東京大学農学部4年の男子学生が、電車内で女子高生を触ったとして強制わいせつの疑いで逮捕されたことが報じられている。報道によれば、この学生は昨年、一昨年に続き3回目の逮捕という。 Yahoo!Japanニュースより引用

さらに遡ると、2016年に松見謙佑ら東大生5人がおこした強制わいせつ事件の松見謙佑容疑者は、事件前に「酒に酔った女子部員をトイレに連れ込んだこと」があるそうです。

「レポートの丸写しがバレて留年しかけたこともあるほど、勉強はテキトー。その代わり、合コン活動は激しかったですね。松見は入学後まず、「COSMOS」というテニスサークルに入りました。ただ、2年生のときの合宿で、酒に酔った女子部員をトイレに連れ込んだことがバレて、出禁になっています」(工学部の友人) 現代ビジネスより引用

酒に酔った女子部員をトイレに連れ込むのも性犯罪です。性犯罪者を学内に野放しにしていた東大に、本当に責任はないのでしょうか。この時点で松見容疑者を厳しく処分していれば、この後に発生した卑劣な強制わいせつ事件を未然に防ぐことができたのでは?と思わずにはいられません。

「男子から可愛がられる」女子的役割を学外の女子に求めることを容認する空気が、性犯罪容疑者の認知の歪みを強化

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強制わいせつ事件は東大男子と他大学女子で構成されるサークルで発生していて、被害者は他大学に通う女子です。また、3回目の痴漢で逮捕された東大生の被害者は女子高生でした。

学外の女子に被害が発生したことを踏まえて、もう一度、社会学・ジェンダー論が専門の瀬地山角教授(総合文化研究科)のインタビューを読んでみましょう。

東大男子だけを責めるのはちょっと彼らがかわいそうかなと思います。女子率が2割に満たない東大で、他大に異性との出会いを求める東大男子の気持ちは理解できますから。 東大新聞オンラインより引用

これらのインカレサークルにおける東大女子を加入させない運営体制は複数の過程で出来上がったものだと想像できます。例えばサークル内で「男子から可愛がられる」女子的役割を積極的に引き受けようとする他大女子と、そんなつもりはないという東大女子の間に亀裂が生まれる。それは面倒くさいからというサークル構成員の理由もあるでしょう。また「お見合いサークル」としての機能を考えれば他大学にも門戸を開いた方が外見を意識した女子が集まります。「自分たちよりも学歴が低い女子を選ぼう」という東大男子の意識も働いているのかもしれません。 東大新聞オンラインより引用

瀬地山角教授は、「他大の異性との出会いが欲しいけれど、他大女子と東大女子の間に亀裂が生まれて面倒だから東大女子を排除する東大男子」の気持ちに理解を示していますね。

これらの事実を繋げると、「男子から可愛がられる」女子的役割を他大学の女子に求める気持ちに理解を示し、東大女子お断りサークルを容認する大学の空気が強制わいせつ事件や痴漢事件の容疑者の認知の歪みを強化した、という仮説を立てることができます。

「大学」として女性差別への対応が必要なのでは

冒頭で、「2020年度東大教養学部オリエンテーション委員会」という学生自治団体が、東大女子の入会を認めないサークルに対し新年度の歓迎行事に参加させないとする新規則を発表したことを紹介しました。

この取り組みは大変素晴らしいのですが、学生の自主性・自律性に任せるだけではなく、大学として学内でおこっている女性差別問題に取り組む必要があるのではないでしょうか。

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