杉田水脈議員の「結婚しなくていい」問題の本質。国民を軽視する自民党

この記事のポイント

  • 選択的夫婦別姓に関する衆院代表質問で、杉田水脈議員が「だったら結婚しなくていい」とヤジを飛ばす
  • 夫婦同姓は「女性差別構造」を維持する規定であり、法改正が不要な合理的理由がない
  • 自民党の根拠がない主張で数十年も議論が進まない中で発せられた「議論にならない高圧的なヤジ」を擁護する安倍首相
  • 世論や合理性を無視した自民党の言動からわかる、国民を軽視した価値観

2020年1月22日に行われた選択的夫婦別姓に関する野党の衆院代表質問でのことです。
玉木雄一郎・国民民主党代表が「男性が交際中の女性から"姓を変えないといけないから結婚できない"と言われた」というエピソードを紹介した際、杉田水脈議員が「だったら結婚しなくていい」というヤジを飛ばしたことが問題となりました。

※自民党は「ヤジを確認していない」としていますが、近くにいた議員らは自民党の杉田水脈議員がヤジを飛ばしたと証言しています。

この記事では、杉田水脈議員の「だったら結婚しなくていい」というヤジがなぜ問題なのかや、一連の対応からわかる国民を軽視した自民党の価値観について解説します。

▼ 参考: 国会で「だったら結婚しなくていい」とヤジを飛ばした杉田水脈議員

夫婦同姓は「女性差別構造」を維持する規定

image-1

夫婦同姓は法律上では夫か妻どちらかが改姓して夫婦同姓にする規定ですが、約96%の夫婦で女性が性を変えていることから、実質的には主に女性の社会進出や自立を阻む規定となっています。

姓名と業績・論文が結びついているため改姓が大きな問題になる研究職に就く女性の声

「専門分野における業績や論文は研究者の姓名に紐づいています。つまり、姓名が変わるとこれまでの自分の業績や論文が検索結果から漏れ、評価・参照対象から外れてしまうことになりかねないんです。これは研究者としてのキャリア形成に大きなダメージとなるので、私は結婚後も姓を変えるつもりはありませんでした」 ライブドアニュースより引用

また、「第198回国会 請願の要旨」にもある通り、夫婦同姓を義務付けているのは世界的にみても日本だけで、国連女性差別撤廃委員会からも法改正を勧告されています。

民法第七百五十条は婚姻の際に夫か妻のどちらかが改姓して夫婦同姓にする規定であるが、現状ではおよそ九六%の女性が姓を変えている。このことで少なからず女性に不利益、不都合、苦痛を強いている。今では法律で夫婦同姓を義務付けている国は日本以外には見当たらない。国連女性差別撤廃委員会も度々日本政府に法改正を勧告している。二〇一一年に富山市の塚本協子さんらによる改姓強制の違憲性を問うた訴訟(夫婦別姓訴訟)では、最高裁大法廷が二〇一五年十二月、十人の多数意見で合憲(五人は違憲)としたが、改姓による不利益を認め、選択的夫婦別姓(婚姻の際に、同姓・別姓いずれでも選べる)も否定せず、国会での論議を促した。 第198回国会 請願の要旨より引用 第198回国会 請願の要旨から引用

国連女性差別撤廃委員会の勧告には「法もしくは慣習により、婚姻もしくはその解消に際して自己の姓の変更を強制される場合には、女性はこれらの権利を否定されている。」とはっきり書かれています。

安定した家族とは、各構成委員の平等、正義及び自己実現の原則に基礎づけられる家族である。従って各パートナーは、条約第 11 条(a)及び(c)に規定されるように、自己の能力、資格及び意欲に最もふさわしい職業もしくは雇用を選択する権利を有さなければならない。さらに各パートナーは、共同体における個性及びアイデンティティーを保持し、社会の他の構成員と自己を区別するために、自己の姓を選択する権利を有するべきである。法もしくは慣習により、婚姻もしくはその解消に際して自己の姓の変更を強制される場合には、女性はこれらの権利を否定されている。 女子差別撤廃委員会による一般勧告から引用

これらの事実から、夫婦同姓は「女性差別構造」を維持する規定なのは明白であると言えます。

「だったら結婚しなくていい」がなぜ問題なのか

前述の通り夫婦同姓は「女性差別構造」を維持する規定ですし、少子化対策やグローバルスタンダードの観点から見ても法改正に反対する理由がありません。

image-2

世論調査でも改正に賛成が42.1%、反対29.9%、通称使用容認が23%で、特に20代、30代では制度導入賛成と通称使用容認を合わせると82%以上と法改正を求める声の方が多く、なおさら法改正に反対する理由がないのですが、日本では約50年にわたり議論が進んでいません。

日本国憲法が一九四六年に制定され、民法の親族・相続編は大幅に改正された。しかし、家制度廃止に重点が置かれ、他の規定については根本的な検討が十分に行われなかったことから、衆議院司法委員会で「本法は、可及的速かに、将来において更に改正する必要があることを認める」とする附帯決議が付された。夫婦別姓を認めるべきかどうかの議論は民法改正直後から行われていたのである。 憲法制定から五十年を経た一九九六年二月、法制審議会は、選択的夫婦別姓制度導入などの民法の一部を改正する法律案要綱を答申した。しかし、現在まで法改正されないままとなっている。 第189回国会(常会)質問主意書から引用

法改正が不要な合理的理由がない状況で数十年にわたり国会で議論が進まないため、夫婦同姓は「法の下でのすべての平等」の憲法上の保証に違反しているという主張で裁判も行われましたが、昨年東京地方裁判所は「司法制度ではなく国会で取り上げられるべき」として訴訟を棄却しました。

image-3

国会で自民党は「選択的夫婦別姓にすると家族の絆(きずな)が壊れる」、「選択的夫婦別姓制度導入については、我が国の家族の在り方に深くかかわる問題であり、様々な意見があるので慎重に検討すべき」といった根拠のない理由で選択的夫婦別姓を拒み続けています。

このような文脈で、杉田水脈議員が「(夫婦別姓でないと結婚できないの)だったら結婚しなくていい」といった一方的に話を終わらせる高圧的なヤジを飛ばしたため、大きく問題となりました。

image-4

ハーバー・ビジネス・オンラインの記事に、今回の杉田水脈議員のヤジに呆れている外国人の方々の率直なコメントが掲載されているのでご紹介します。

「考えることが仕事の議員がそれを言うのは仕事を放棄しているのと同じ」

「日本に限らず、何かの是非を問うときに『嫌なら出てけ』、『嫌ならするな』ということを言う人はどこの国にもいます。しかし、それはあくまでネットなどに溢れる一般人の意見がほとんど。だからと言って許されるわけではありませんが、議論すること、考えることが仕事の議員がそれを言うのは仕事を放棄しているのと同じです。こんなこと、それこそ誰でも言えます。話し合うためにいるのに、その前の段階で議論を終わらせるなら、給料泥棒と一緒ですよ」(アメリカ人・男性・36歳) ハーバー・ビジネス・オンラインから引用

「普段何を考えて仕事しているんでしょうか」

「少子化は今や日本ではなく、世界中の問題です。そこで夫婦の権利を拡大するどころか、狭める。さらに『結婚するな』なんて、普段何を考えて仕事しているんでしょうか……。何かを解決しよう、前に進めようという意志がまるで感じられません」(デンマーク人・36歳・女性) ハーバー・ビジネス・オンラインから引用

杉田水脈議員のヤジをもみ消した安倍首相

image-5 2020年1月27日の衆院予算委員会で、杉田水脈議員のヤジについて安倍首相は「本会議の不規則発言について私が、調査、コメントする立場にない。」と答えました。

安倍首相は本人に聞けばすぐ分かるようなことを確認もせずに「議事録が残ってるものではないので」などと言い、「調査、コメントする立場にない」と答えています。これは事実上のモミ消しであり、杉田水脈氏のヤジを安倍首相が擁護していると解釈できます。

大串氏は「首相本人が施政方針演説の中で『多様性を認め合う社会を作る』と述べており、政府の方針に大きくかかる問題だ。(ヤジをした)本人に聞けばすぐ分かることだ」などと追及した。

これに対し、首相は「施政方針演説も含め、多様性を尊重していく社会にしていかなければならないというのが政府の立場だ」と述べた上で、「本会議場における不規則発言は、誰かの正式な発言で議事録が残っているものではないので、総理大臣たる私がうんぬんすることは差し控えなければならない」と語った。 毎日新聞から引用

安倍首相は過去にも、世界的に批判され複数の海外有力メディアで取り上げられた杉田水脈議員のLGBTに関する発言「LGBTは生産性がない」に対して、「まだ若いですからしっかり注意しながら仕事して欲しい」などと言って擁護しています。

さらに遡ると、そもそも杉田水脈議員は安倍首相が「杉田さんは素晴らしい」と絶賛し萩生田光一議員と「一生懸命になってお誘い」し自民党からの出馬した、という経緯があります。

2017年9月29日、第48回衆議院議員総選挙に自由民主党から出馬することが決定とTwitter上で発表。櫻井よしこによれば、安倍晋三首相が「杉田さんは素晴らしい」と絶賛し萩生田光一議員と「一生懸命になってお誘い」し、自民党からの出馬が決まった。 Wikipediaから引用

これらのことから、杉田水脈議員の主張や価値観の根幹は安倍首相とほぼ同一であると見なすのが自然です。

世論や合理性を無視した自民党の言動からわかる、国民を軽視した価値観

選択的夫婦別姓をまとめると以下のような状況です。

  • 夫婦同性は女性差別構造を維持する規定である
  • 少子化対策やグローバルスタンダードの観点からも選択的夫婦別姓に法改正するのが合理的
  • 世論の過半数が選択的夫婦別姓に賛成している

このような状況で自民党は根拠のない抽象的な主張で数十年にわたり議論を進展させず、杉田水脈議員の議論を一方的に終わらせる高圧的なヤジ「だったら結婚しなくていい」をもみ消しています。

さらに杉田水脈議員と安倍首相のつながりを踏まえると、杉田水脈議員の主張や価値観の根幹は安倍首相とほぼ同一であることが推察されます。そんな安倍首相は自民党の党首です。

これらのことから、少なくとも自民党は国民を軽視しているということに疑いの余地はありません。

アクション情報募集中!

フェミニズムや人権をテーマにしたアクション情報を募集します!お寄せいただいたアクションに関連すると思われるテーマの記事やTwitterなどで紹介します。

また、お寄せいただいたアクションに関連するテーマの記事がない場合、新しく記事を作成させていただくことがあります。 本サイトに関連テーマの記事がない場合もお気軽にお問い合わせください。

【アクション例】

  • change.orgのキャンペーン
  • デモントレーション
  • セミナー
  • パブリックコメント
  • おすすめ議員への投票
  • 陳情書への署名

【応募方法】

rife.nuのTwitterからお気軽にメッセージをください。