岩井志麻子氏「韓国人は手首切るブス」と侮辱。広がる倫理観の欠如

この記事のポイント

  • テレビ番組「胸いっぱいサミット!」(関西テレビ)で岩井志麻子氏の「韓国人は手首切るブス」という侮辱発言が2回にわたり放送される
  • 関西テレビは岩井志麻子氏の侮辱発言について「差別ではない」と公式見解をだすも、発言力のあるコメンテーターや新聞で批判されたことを受けてお詫び
  • 関西テレビ局内の少なからぬ制作者たちが、視聴者にお詫びをした局の対応に不満。ある制作者とっては、「韓国人は手首切るブス」も守りたい表現の自由の一つ。

土曜の昼間に放送される「胸いっぱいサミット!」(関西テレビ)で、2019年4月6日放送回と2019年5月18日放送回の2回にわたり、岩井志麻子氏による韓国人と女性に対する侮辱発言が放送されました。※問題の発言が放送された番組は事前収録です。

2020年1月24日にBPOが公表した意見書を読むと、岩井志麻子氏の発言の酷さもさることながら関西テレビが組織ぐるみで倫理観が欠如していることが伺えます

公表された意見書に記載されている、問題発言の詳細と関西テレビ局の対応および局内製作者の反応をご紹介します。

▼ 参考: 関西テレビの番組で「韓国人は手首切るブス」と発言した岩井志麻子氏

https://otonasalone.jp/author/special-siwai/
岩井志麻子の記事一覧です。|1964年、岡山県生まれ。『ぼっけえ、きょうてえ』(角川書店刊)で第6回 日本ホラー小説大賞、2000年には同作品で第13回 山本周五郎賞。第2回 婦人公論文芸賞を受賞した『チャイ・コイ』(中央公論新社刊)は2013年、映画公開。『5時に夢中! 』(東京MXテレビほか )木曜レギュラー、『有吉反省会』(日本テレビ系)レギュラー出演中。『魔性の女に美女はいない』(小学館)など、女性の生き方への考察の著書も多数。1ページ目
https://otonasalone.jp/author/special-siwai/

4月6日放送回、戦犯ステッカー条例案をめぐる発言

岩井志麻子氏は2019年4月6日放送回で、「韓国人は手首切るブス」、「日本のAVにもステッカー貼れよ」などと侮辱発言をしています。

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放送の様子について、BPOの意見書に詳細が記載されています。以下引用です。※X氏とは、岩井志麻子氏のことです。

(省略)VTRは、3月に韓国・京畿道議会に提出された「戦犯ステッカー条例案」を説明するものだった。

(省略) これに対して、出演者の女性タレントが「日本を見下した最低な行為。本当に許せないと思います」と“クレーム”を述べて、スタジオトークが始まる。

(省略) X氏は、「だから私韓国には懲りてる、いやいや慣れてるんですけどね。そもそも韓国ってね、手首切るブスみたいなもんなんですよ」と語る。MCが「それってどういうことですか?」と尋ねると、X氏は自らの手首に指を当てるなどの動作を交えながら、「手首切っては、なんか、『来てくれないと死んじゃうから、死んじゃったらあんたのせいだから』。それで、中国なんかは『死ねば』って言っちゃうけど、日本は『そんなこと言うなよ、俺やっぱりお前のこと好きなんだよ、心配してんだから』とちょっと様子を見に行ったりなんかして、ついうっかり・・・させちゃうんですよね」と語る。なお、「・・・」の部分には、ピストルの発射音のような音がかぶせられ、発言をするX氏の口元には禁マークを付ける映像加工がなされている。共演者は「生放送に呼ばれない理由が何となく分かりますね」などと応じる。

(省略) X氏は、条例案を発議した韓国議員の実名をあげて、「絶対この人日本のAV観てると思うんだわ。だって韓国人、日本のAV大好きだもん。だったら日本のAVにもステッカー貼れよ」などと、動作を交えながら語る。共演者からは「いま、しらふなんですよね」などの突っ込みが入る。 BPOが公表した意見書から引用

5月18日放送回、韓国国会議長の祝電問題をめぐる発言

岩井志麻子氏は2019年4月6日放送回に続き、同年5月18日放送回でも「韓国人は手首切るブス」と繰り返し発言。

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5月18日放送回の様子について、BPOの意見書に詳細が記載されています。以下引用です。※出演者の女性タレントX氏は岩井志麻子氏のことです。

VTRは、「慰安婦問題の解決には天皇(注:現在の上皇)の謝罪が必要だ」「その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか」などと主張して上皇への謝罪を要求していた文喜相(ムン・ヒサン)韓国国会議長が、改元の際、謝罪要求から一転、日韓関係の発展と天皇陛下の訪韓に期待を示す祝電を送ったことなどを説明する。

これに対して、出演者の女性タレントが「文面が思い上がっている。韓国に送り返せばいい」と“クレーム”を述べてスタジオトークが始まる。

(省略) MCがX氏に「Xさん、ご主人が韓国の方ということで韓国人気質というのはよく分かっていると」と話を振る。これに対してX氏は、動作を交えながら、「いやー、こないだも言いましたけど、とにかく手首切るブスみたいなもんなんですよ。手首切るブスというふうに考えておけば、だいたい片づくんですよ」と語る。共演者の別の男性タレントが「あー、なるほどなるほど」と相槌を打つ。X氏はさらに「『来てくれなきゃ死んじゃうから、死んだらあんたのせいだから』。で、中国とか北朝鮮は『死ねば』って言っちゃうけど、日本は『そんなこと言うなよ、お前のこと好きなんや』と・・・とかさせるのよね」と述べる。共演者が「誰の話?」「でも、すっごく分かりやすい」などと応じる中、X氏はさらに「手首切るブス。そんでね、慰めに行って、ひょっと・・・とかさせるのが日本なんですよねー」と発言を重ねる。なお、「・・・」の部分にはいずれも、ピストルの発射音のような音がかぶせられ、発言をするX氏の口元には禁マークを付ける映像加工がなされている。

続けてMCが、韓国のナンバー3のようなポジションにいる人がこのようなことでは困ると話すのを受けて、男性タレントが「だから、行儀悪い奴らばっかりが集まって国をやっとるんやろ」と話す。共演者は「相席やめてもらえますか」などと応じる。 BPOが公表した意見書から引用

4月8日放送回と比較すると、他出演者が岩井志麻子氏の発言を肯定的に受け止めている様子が伺えます。この回の出演者は以下の方々です。

  • 進行: ハイヒールリンゴ, 八木早希
  • パネラー: デヴィ夫人, 東国原英夫, 岸博幸, 岩井志麻子, 千原せいじ(千原兄弟), 乙武洋匡

岩井志麻子氏の発言を「差別ではない」とした関西テレビ

2回目の放送後、岩井志麻子氏の「韓国人は手首切るブス」という発言が差別的ではないかと2019年5月20日にTwitterで話題になったことをうけ、2019年5月24日に関西テレビは「差別的ではない」という公式見解をまとめました。これが関西テレビの倫理観です。

Twitterで話題となったツイート

関西テレビ局の最初の公式見解

編成部、制作部、法務・コンプライアンス部、宣伝部の幹部が、X氏の発言を放送したことについて、編成局、制作局、CSR推進局の局長の意向も確認しながら議論した。その結果、5月24日に、X氏の発言は日韓両国の関係性や外交姿勢を恋愛関係に例えて擬人化し、これを暗に批判する同氏なりの表現方法であり、人種、民族、性別や自傷行為を繰り返す方々への差別的意図はないとの見解をまとめた。 BPOが公表した意見書から引用

自浄作用がなく外圧がないと謝らない関西テレビ

前述の通り、関西テレビは2019年5月24日に「差別ではない」と公式見解をまとめましたが、その後も関西テレビに批判が集まり、2019年6月10日放送の「カンテレ通信」(関西テレビ)に出演していたコメンテーターからの批判や、2019年6月18日発行の全国新聞で批判記事が掲載されたことをうけ、関西テレビは初めてお詫びの言葉を以下のように述べました。

この朝刊が出た18日の午前に、局は、視聴者番組制作委員会の臨時委員会で、「様々な感じ方をされる視聴者の皆様への配慮が足りず、心情を傷つけてしまう可能性のある表現であり、そのまま放送するという判断は誤りだった」との結論に至った。そして、23日放送の『カンテレ通信』内で視聴者にお詫びすること、『胸いっぱいサミット!』での放送対応は6月22日を候補とすることを決定した。 BPOが公表した意見書から引用

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このように、関西テレビがお詫びに至った経緯を改めて整理すると発言力のある人や権威ある新聞で批判されたからお詫びしたということがわかります。

「韓国は手首を切るブスみたいなもん」という発言を公共の電波で土曜の昼間に放送するということの異常さを視聴者から指摘されても気づかない、それが関西テレビの倫理観です

お詫びしたことに対して不満を漏らす局内の制作者

関西テレビがお詫びしたことに対して、局内の少なからぬ制作者たちが納得しておらず「出演者や制作スタッフが表現したいと考えたものを守ることができなかった」と悔いる声があると意見書には書かれています。

聴き取りを通じて、委員会は、少なからぬ制作者たちが、視聴者にお詫びをした局の判断やオンブズ・カンテレ委員会が示した見解に対し、十分に納得していないのではないかと感じた。

例えば、ある制作者からは、番組により傷つく人々がいたことを事実として受け止めつつも、出演者や制作スタッフが表現したいと考えたものを守ることができなかったと悔いる声が聞かれた。 BPOが公表した意見書から引用

岩井志麻子氏の「韓国人は手首きるブスみたいなもん」という発言は、関西テレビ局内の少なからぬ制作者たちにとって「守りたい表現の自由」のようです。

広がる倫理観の欠如

意見書には、制作者が"マジョリティ"であるネットの書き込みで岩井志麻子氏を援護する人たちの意見と、今回のような発言を問題視する"マイノリティ"の板挟みになっている制作者の悩みが記載されています。

ある制作者からは、(省略)委員会が審議入りしたことを報じたウェブニュースの記事に対する書き込みには、X氏の発言を擁護する意見が大半を占めており、悩んでいるとの思いも語られた。

関西テレビの報告書にも、「ネットの書き込みや視聴者から直接寄せられる声は、その影響力からも無視できるものではありませんが、それ以外の視聴者の心情をどうくみ取っていくのか、マイノリティに対する認識や理解をどう深めていくのか、視聴者に『おもねる』のではなく、『寄り添う』ために、指摘された『作り手のエゴ』とならないためにはどう取り組むべきか。恥ずかしながら、まだ答えを出せておりません」との率直な記載がある。 BPOが公表した意見書から引用

テレビ番組は視聴率が命。

意見書に書いてある通り、「ネットの書き込みで岩井志麻子氏を援護する人たち(= ネトウヨ)」が無視できない影響力をもつ"マジョリティ"なのだとしたら、倫理観の欠如は日本人全体に及ぶのかもしれません。

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